今回の出雲國神仏霊場は、第八番の美保神社をご紹介いたします。
美保神社は島根半島の先端に位置する、『出雲国風土記』が編纂された8世紀には鎮座していた古社です。
ご祭神は「事代主神(ことしろぬしのかみ)」と、「三穂津姫命(みほつひめのみこと)」です。
「事代主神」は、大国主命の第一の御子神です。鯛を手にする福徳円満の「えびす神」としてその名が知られています。
「海上安全・大漁満足・商売繁盛・学業・歌舞音曲(音楽)」の守護神として篤く信仰されています。
「三穂津姫命」は、大国主命の后です。高天原から稲穂を持って葦原中つ国(地上)に降り立ち、人々に食糧として配り広められたとして、「五穀豊穣・夫婦和合・安産・子孫繁栄・歌舞音曲」の守護神として篤く信仰されています。
また、「美保神社」の「美保」は、この神様のお名前から縁があると伝えられています。
美保神社の本殿は左殿と右殿があり、向かって右側の左殿(大御前)に美穂津姫命、左側の右殿(二の御前)に事代主命が祀られています。
現在の本殿は1813年に再建されたもので、国の重要文化財に指定されています。
こちらが拝殿です。拝殿は壁がなく、梁がむきだしており、天井はありません。
この構造により優れた音響効果をもたらします。
音楽の神様であることから、拝殿では年間を通して音楽の奉納が行われます。
美保神社では、大きな神事が2つあります。
ひとつは、毎年4月7日に執り行われる「青柴垣神事(あおふしがきしんじ)」です。
事代主命が大国主命より国譲りの相談を受け、国を譲ることに決定した際、自ら海中に青い柴垣を作ってお隠れになったという故事にちなんだ祭りです。
祭りに関わる人は3月31日より参籠し、祭りの間世俗との関わりを絶ちます。
4月1日より、様々なお供えをしたり装飾をしたりと、お祭りムードが徐所に高まっていきます。
そして当日4月7日、「御船ノ儀」をはじめとした青柴垣神事本祭が執り行われます。
※写真は美保関地域観光振興協議会公式ホームページより引用
次に、毎年12月3日に執り行われる「諸手船神事(もろたぶねしんじ)」です。
この神事も国譲り神話を題材にしたもので、事代主命が大国主命から国譲りの相談を受けるさまを儀礼化したお祭りです。
真冬の日本海の荒波の中、船に乗り込み神事を行うさまは圧巻です。
※写真は美保関地域観光振興協議会公式ホームページより引用
また、美保神社では毎月7日に「七日えびすまつり」が催されます。
七日えびすまつりでは、朝9時から、神恩に感謝し、氏子さんたちの安寧を願う神事「月次祭」をはじめ、奉納鳴物などの宝物の公開、金の鯛守の授与、金字の御朱印の授与などが行われます。
金字の御朱印は毎月紙の色が変わります。9月は緑がいただけました。
金の文字と銀の印が特別感がありますね。
通常の御朱印はこちらです。
出雲國神仏霊場の御朱印はこちらです。
「知」の一文字がいただけます。
余談ですが、出雲大社だけに参ることを「片詣り」といいます。
江戸時代に、「さらなるご縁のパワーがいただける」と出雲大社・美保神社を両方お参りすることが流行しました。
ぜひみなさまも出雲へお越しの祭は「えびす・だいこく両参り」をされてみてくださいね。
それでは、今回もお付き合いいただき、ありがとうございました。
みなさま良いお参りを。